えりも町は、北海道南部、日高山脈の南端に位置する町。春と夏は濃霧が発生しやすく、最も暑い8月の月平均最高気温がなんと19.8℃。夏でも気温があまり上がらず、北海道の中でも、一番夏が涼しい地域のひとつです。また、非常に風の強い地域で、森進一の歌でもおなじみの襟裳岬では、風速10mを超える日が年間288日もあります。主な地場産業は漁業で、コンブ、サケ、ウニなどが獲れます。
今回ご紹介したいのは、襟裳岬まで車で5分、岬のほぼ突端に位置する、短角王国 高橋ファーム「ファームイン守人(まぶりっと)」。
100haもの広大な牧草地で、70頭もの「えりも短角牛」が自然放牧されています。
短角牛は岩手県で飼われていた南部牛に由来する牛で、寒さに強く、放牧に適し、子育てが上手なのが特徴。えりも町では、明治28年ごろから漁家の凶漁対策として飼われています。2月~4月にかけて牛舎で生まれた仔牛は、5月になると牧草へ。母牛の出すお乳を沢山飲んで、ミネラルたっぷりの牧草を好きなだけ食べて育ちます。一般的な肉牛は、小さいうちに親と引き離され、外国産の配合飼料を与えられ育ちますが、 高橋ファームの仔牛たちは、親の傍で自由に過ごせる幸せ者。起伏の激しい牧場内を自由に歩き回ることで、ストレスもなく健康に育ちます。それが、おいしい赤身肉を作る秘訣!短角牛は、霜降り肉の和牛とは違い、低脂肪で滋味のある良質の赤身肉。低カロリー、低脂肪の上に肉の味を決めるアミノ酸が多く、血圧や動脈硬化が気になる方にも安心です。敷地内にある焼肉小屋「短々」では、牧場で飼育する安全でおいしい短角牛を堪能できます。愛くるしい短角牛を見てしまっては、食することに気が引けますが、そこはグッと気持ちを切り替えて・・・
牧場に立つ一軒家「ファームイン守人」は、2~8名のグループで利用できる宿泊施設。1階にはリビング、ダイニング、トイレ、バスルームがあり、2階の8畳和室2部屋が宿泊スペースとなっています。窓から見える草原には、ヤギが遊ぶ姿。隠れ家的な雰囲気は、居心地の良さがたっぷりで、ゆったり寛げます。またファームレストランでは、ボリュームある「日高路バーガー」、カルビ・サガリ・タンの焼き肉がのった「短角よくばり牛丼」、ちょっと贅沢な「ステーキセット」など、いろいろな味を楽しめます。
「ファームイン守人」の「守人」は、東北弁で放牧中の牛を管理する人。
オーナーの高橋さんは、短角牛を飼育する酪農家でありながら、日高昆布やウニを採る漁師でもあります。農業実習体験として、農業高校や農業実習生の受け入れを行い、餌やり体験・牛舎の掃除体験・放牧の見学など積極的な活動を行い、「命をいただく」ことの大切さや、感謝の心を伝えています。
青い海を臨める牧場で、命の繋がりを感じてみませんか。