「のぼりべつクマ牧場」は、登別温泉街からロープウェイで約7分、標高550mのクマ山(四方嶺)の山頂にあり、100頭以上のクマが放し飼いされている動物園です。
「芸をするヒグマ」という当時の常識を覆したことでその名を知らしめ、国内におけるクマ専門動物園の先駆けとなりました。
施設は第1牧場・第2牧場の2つの放飼場や、世界唯一のヒグマ博物館、ユーカラの里(アイヌコタン)、アヒルの競走場、クッタラ湖展望台、売店、食堂などがあります。
【第1牧場】
ここでは、オスのヒグマが飼育されています。オスのヒグマはメスのヒグマに比べて、動きは少ないですが、東アジア最大の陸上動物ならではの体格をしています。
毎年、5~7月は発情期間で、それぞれのクマが頂点を目指して奮闘する「ボス争い」は、驚くほどの迫力があります。併設されている「人のオリ」では、人間が檻の中に入り、クマ達がその周りを取り囲むという、まるで獲物に狙われる動物のような体験ができます。間近で目や耳、鼻や毛並みなどの特徴がじっくり観察でき、クマに一番近づける場所です。
【第2牧場】
ここでは、メスのヒグマが飼育されています。メスのヒグマはとても活発で、2本足で立ったり、寝そべったり、とても愛くるしいポーズでおやつをおねだりしてきます。
思わず「可愛い~♡♡♡」と、顔がメロメロになってしまうほど。その愛くるしい姿は、クマの恐ろしさを忘れてしまうほどです。
器用なクマさんは、鉄製の木を登り、一番高い所からおやつをおねだりしてきますからね。クマの動き、器用さ、賢さを間近で観察してみてください。
【クマ山ステージ(ツキノワ・アトラクション)】
ツキノワグマは木の上に寝床を作ったり、冬ごもりに樹洞を使ったり、木を多く利用する動物で、ヒグマと比べて木登りを得意とします。
自生している桂の木や、580mの標高から見下ろす眺望の中で、「丸太渡り」や「餌探し」など、優れたバランス感覚や手先の器用さが強化ガラス越しに観察できます。
ブランコ乗りによる驚く能力を紹介したり、トレーナーの非接触(遠隔)による学習行動は、日本初の試みです。
【ヒグマ博物館】
生後1日目から成獣までの世代別剥製、骨格標本やクマの起源と歴史、世界の分布状況や人畜の被害状況、ヒグマの習性と生態など約500点の資料が展示。
ヒグマの習性や生態など興味深い資料から、クマの一生を知ることができます。
【ユーカラの里(アイヌコタン)】
失われつつあるアイヌの貴重な文化遺産を保存し、有形無形文化財を後世に伝えるため、明治初期の生活様式が忠実に再現されています。
生活資料館では、ユリカゴから墓場まで、アイヌ民族の貴重な生活用具を約300点を展示。先住民族アイヌの自然と、調和のとれた生活の知恵を見学できる「ユーカラの里」は、クマ牧場のもう一つの顔とてして存在しています。
エサを求めて山から下りて来たクマに、襲われる事件も少なくないですが、この「のぼりべつクマ牧場」にいるクマは、それを寄せ付けない可愛さです。
それは、表面しか見ていない私たちの勝手な思い込みで、この牧場で生きていくために身につけた知恵。
クマの目には、私たち人間がどんな風にうつっているんでしょうね。